ヨンパチ学問ニッキ

日々の耳学問メモ。BBC RadioとCBC Radioで聞いたものの記録。

政治思想のサバイバルとか

きのう近くにいた学生たちが、たまたま政治学の勉強をしていた。おそらくロックの『市民政府二論』の勉強をしていたのだと思うのだけれど、それがあまりにも受験勉強風というか、暗記風の勉強の仕方なので、少し悲しくなった。

アメリカにいたときに、TAとして政治学/政治思想のイントロの授業のTAを教えたことがある。そのときにボスの先生がロックの課題で出したペーパーの課題のひとつは、「ロックの『市民政府二論』において、神なしにも自由は可能か」を論じるというものだった。これは期末でなく、一本目のレポートの課題。学生はダブルスペースで5枚程度のペーパーを書く。こんなの入学してきたばかりの1年生で書けるのだろうか、と思ったが、3、4年生よりも1、2年生のほうが良いペーパーを書いてきたのを覚えている。こういう風に学生に頭を使わせるように、日本の大学の政治思想の授業でもできたらいいのだけどな。いつか私が教えるときにでも。

おそらく日本ではまだ大学/大学院における教育の側面は軽視されていて、政治思想の人たちもあまりその点には配慮していないように思う。なのでいつか政*思想学会あたりで、政治思想を「教える」というところに焦点を絞ったワークショップなんかをやったらいいのではないかと私は思っていて、ときどき先生方に話してみているのだけど、皆あまり関心がないよう。政治思想が日本の大学で生き残るためにも、そういうスキルを考えるのも必要ではないのかな。

そうそう、もうひとつ思い出した。上記のペーパーで、ある学生が「God」という単語をすべて「G_d」と表記してきた。主の御名をみだりに唱えてはならないというあれだけれども、大学のレポートにまで徹底するものなのかと思ったのが印象に残っている。