ヨンパチ学問ニッキ

日々の耳学問メモ。BBC RadioとCBC Radioで聞いたものの記録。

人前で研究のプレゼンをするときの「普通」について

私はこれまで何度かアメリカとカナダに暮らしたことがあって、アメリカには二度留学した。その後、仕事や研究でふらふらとあちこち海外に出る機会があり、ずいぶん海外慣れしてきたような気がしていたのだが、実際には私はアメリカ慣れしてるだけだった、ということがイギリスに来てからわかった。

それは例えば、イギリスでWhat's up?ってあんまり聞かない(私が歳をとって、そういう表現を使わない世代になったせいもありそうだけど)とか、アメリカならexcuse meと言うべき場面も含めてやたらとsorryと言うとか、would you / could you...というアメリカ慣れした身からすると馬鹿丁寧に聞こえる表現をお店の人にも使うとかいう日々の些細な言葉遣いの違いだけではなくて、研究者生活の中でも感じる。今日書くのは、人前で研究プレゼンをするときについて。

研究発表のスタイルについては、アメリカだと、TED talkのような発表スタイルがひとつの理想とされているように思う。要点をわかりやすく示した綺麗なスライドを使い、ノートは見ずに聴衆に語りかけ(アイコンタクト重要)、ドラマチックに話を盛り上げる。

イギリスに来ていくつか学会や研究会にでてびっくりしたのは、そういうTED talk式の発表がないわけではないが、アメリカ的観点からすると、どうもプレゼンがあまり上手ではない人たちがけっこういるということ。下を向いていてアイコンタクトがない人もいるし、話の展開が退屈だったりもする。

そして、どうやらプレゼンのスタイルが日本のそれにとても近い。スライドなしは結構あるし、レジュメ配布もある。もちろん、配布物・スライドのいずれもなしも。それから、論文の読み上げ発表もあった。配布物なしで分析系の読み上げ発表だったときは、さすがにきつかったな。

私の分野だと、日本では論文の読み上げ発表がときどきある。そういう発表は怪しからんとアメリカ視点から私自身思っていたこともかつてあったのだけど、イギリスに来てみたらそういう発表も普通にあった。研究発表のスタイルの「普通」は、どうやらアメリカとイギリス(ヨーロッパ?)は違うようだぞ。

それで、自分のアメリカかぶれの視野の狭さを反省している。